理事長挨拶



日本正常圧水頭症学会
理事長 數井裕光

日本正常圧水頭症学会の理事長に就任しました高知大学神経精神科学講座の數井裕光です。初代理事長の新井 一先生(順天堂大学脳神経外科)、前理事長の伊達 勲先生(岡山大学脳神経外科)に引き続き本学会の発展に努めたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

私は、精神科医ですので、「どうして精神科医が水頭症を?」とよく質問されます。老年精神医学が私の専門領域で、多くの認知症の患者さんを以前から診療していましたので、高齢者の、先行疾患が不明で、緩徐に認知機能障害を呈する特発性正常圧水頭症(idiopathic normal pressure hydrocephalus, iNPH)の患者さんも一定数おられました。そのような中で2002年の第3回日本正常圧水頭症研究会(本学会は2012年に学会に移行しました)で講演する機会をいただき、本学会で精力的に水頭症の診療と研究をされている先生方と出会いました。さらにこの時の研究会で、iNPH診療ガイドライン(初版)の作成が決まり、私も認知障害関連の章を担当するためにメンバーに加えていただきました。その後も、iNPH診療ガイドライン第2版、第3版の作成、本学会が主導したiNPHに関する多施設協同前向きコホート研究であるSINPHONI、SINPHONI-2、SINPHONI-3に参加させていただき、さらに2014年には第15回日本正常圧水頭症学会(大阪)を担当させていただきました。これらの経験とこれらの活動を通して出会った多くの方とのご縁は、私にとって大変貴重なもので、私は本学会に育てていただいたと思っております。

水頭症患者さんに対する診療、研究の主役は脳神経外科の先生方で、本学会の学会員もほとんどが脳神経外科医です。しかし本学会には、脳神経内科医、老年内科医、リハビリテーション医、神経放射線科医、私のような神経精神科医という臨床分野の者に加え、解剖学、生化学、生理学の先生方、流体力学など工学分野の先生方、さらには様々な医療職やケアの専門家という多彩な人達が集い、治療可能な病態である水頭症をよりよく理解し、診断、治療、リハビリテーション、ケアを向上させようと熱心に考え、熱く議論しています。学会の雰囲気もとても心地よく、風通しもよいと感じております。この度は、理事長として重責を感じておりますが、学会員の皆様が気持ちよく活動でき、その成果を広く社会に還元できるよう努めたいと思います。皆様からの引き続きのご指導、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

2022年9月

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